「先生から、教育を変えていく。」というビジョンのもと、学校教育の変革を推進するARROWS。同社の中核事業である「SENSEI よのなか学」の急速な拡大に伴い、営業マネージャーとしてどのような役割を担っているのか。企業と提携し、先生方に価値ある教材を届けるため、どのように日々の業務に取り組んでいるのか。その具体的な仕事の内容や背景についてお話を伺いました。
profile
株式会社ARROWS 営業マネージャー 高柳 圭 (たかやなぎ けい)
大学卒業後、大手BPO事業者にて法人営業に従事したのち、株式会社カカクコムへ入社。価格.comコンテンツの営業責任者、広告ビジネス事業責任者を経て株式会社レアジョブへ入社。BizDevの責任者として営業計画の策定・実行、商品企画、システム開発、オペレーション策定など全方位的にプロジェクトマネジメントを遂行。その後法人向け事業部門をスピンオフし取締役COOに就任。法人向け事業の責任者として、社内外のステークホルダーマネジメント・組織開発に従事。2024年7月より現職にて、クライアント企業のアカウンティング・開拓、事業のグロースを担当。
──高柳さんはBtoB営業を軸にキャリアを積み上げてこられたとのこと。これまでの経歴を教えてください。
新卒で大手のBPO事業会社に入社し、法人営業に従事したのがキャリアの始まりです。後にインターネットメディア企業に転職し、営業に軸足を置きつつプロジェクトマネジメントや事業開発、商品開発、オペレーション設計など、さまざまな業務に携わりました。事業にコミットするスタンスゆえのことですが、自分自身がバリューを発揮できる軸は常に営業にありました。そのため、「営業 兼 事業企画」や「営業 兼 事業責任者」のような役割を中心に担当してきました。直近では、レアジョブが法人向け事業部門をスピンオフした子会社で、取締役COOとして制度設計や組織開発、ステークホルダーマネジメントなどに取り組みました。
単純に売上を伸ばしたり契約を取ったりする面では、私よりも目覚ましい成果を上げる方は多々おられるでしょう。私の場合、ビジネスや職種に関する全方位的な理解や、視点の広さといった面について、これまでの経験を通じて多くのことを培うことができたと感じています。
──それは、ARROWSの営業活動にも生かせる強みですね。ARROWSとの出会いについて聞かせてください。
社長の浅谷とは、大学時代にアルバイトが一緒だったんです。お互いに社会人となってからは疎遠になりましたが、前職のレアジョブに転職したのを機に、同じ教育業界に携わることになったという縁から声をかけてもらい、再会しました。ときにはARROWSの事業に関する相談を受けながら、浅谷とディスカッションを深める期間が2年ほど続きました。
──その後、ARROWSへの入社を決めたのはなぜでしょうか。
最も大きな要因となったのは、前職の事業の目処が立ったということです。子会社としてスピンオフし、3年目を走り切ったところで制度などが整い、組織として持続可能な状態が見えてきました。もちろん、そのまま残って事業をさらにドライブするという選択肢もありましたが、この経験を生かして、もう少しスモールな環境でバリューを発揮してみたいと心が動かされたのです。
ARROWSは、まず事業内容が極めて素晴らしいと感じました。クライアント企業とタッグを組み、子どもたちに学びを届けて、子どもたちが企業のファンになる──事業のスキームに独自性があり、社会貢献性が非常に高いところにも魅力を感じました。
また、スタートアップではありますが投資家からの資金調達はなく、いつまでに上場しなければいけないという外圧がない。さらに単年黒字をすでに達成しており、スタートアップとしては稀有なステータスにある会社だと思います。上場すれば株主に対してリターンする義務がありますから、目先の利益を追って株価を上げることを優先するケースも出てくるかもしれません。でもARROWSは、顧客である先生方に価値を届けるために何をすべきか、ということが全ての発想の起点となっています。真に顧客のために自分たちがすべきことを追求できる環境、言い換えれば、自分たちがどんなふうに成長していくのか、自らゴール地点を決められるというのは非常に魅力的ですし、ぜひ挑戦したいと思いました。
──営業チームの業務内容について教えてください。
「SENSEI よのなか学」の教材づくりにご協力いただくため、日本や世界を代表する企業様にアプローチしています。営業先がいわゆる現場のご担当者様である場合、私たちの事業でお届けできる価値に賛同していただけても、実際に参画できるかどうかの検討がなかなか進まないケースが往々にしてあります。短期的な数字目標に重点が置かれることが多いため、それはやむを得ません。そこで私たちは、まずは役員クラスの方々にお話を聞いていただき、事業の価値にご賛同いただくことを目指し、そのうえで現場へと展開していただく流れをつくっています。もちろん、それはなかなか容易なことではありません。経団連などの会合で声をかけたり、どこかの講演会で登壇されると聞けば会場まで伺ったりするなど、地道な活動もしながら、関係を深めています。しかしながら、こういったハイレイヤーの方々とお話しした際に「素晴らしい取り組みですね」「応援したい」というお声をいただくケースが極めて多く、価値合意がしやすい点もこの事業の特徴だなと感じます。ご紹介してよかったと思える事業です。
私自身のミッションは営業マネージャーとして、先生方に届ける価値を最大化できるよう事業をドライブしていくことです。営業活動の全体を統括する役割を担いつつ、現場の長として個々のメンバーのマネジメントも行う立場にあります。2つの異なる視座を使いわけながら、メンバーとともに目標に向かって走っているところです。現在、営業は私を含めて5名のチーム。私自身がプレイヤーとして営業に出向くことも少なくありません。
──「SENSEI よのなか学」事業の魅力は何でしょうか。
これまで学校教育系のプロダクトは、学校か保護者から利益を得るというビジネスモデルしかありませんでした。そこに企業というプレーヤーを登場させて、企業との協働で学校現場を支援していきながら、企業にも価値をお返しするというスキームに強い独自性があります。
これにより、子どもたちには世の中に開かれた学び、生きた学びを届けることができますし、日々の業務に忙殺される先生方には授業準備を短縮してもらうことができる。この関係性が広がれば広がるほど、幸せな人が増えていくことを実感できる事業だと考えています。
──ARROWSという会社の魅力については、どんなふうに感じていますか。
ARROWSはビジネスが成立していない領域で、かつ社会課題が明確に存在している領域でビジネスを成功させることを是としていて、すでにプレイヤーがいる領域、いわゆるレッドオーシャンに参入することは基本的には考えていません。次なる事業を考えるにあたっても、未開のフィールドにチャレンジする姿勢は変わらないでしょう。難易度が高いがゆえに、やりがいにあふれた職場だと思います。
社員は「SENSEI よのなか学」事業に深く共感しているメンバーばかり。皆、自分だけにベクトルを向けるのではなく、チームや会社が成功するためにどうすればいいのかを常に考えています。現在ARROWSは、所属チームに関係なく全員が事業開発という役割を求められるフェーズにあります。自分の守備範囲はこれだと限定することなく、新たな領域を自在に拡張できる。自己成長の機会が広がっていることも大きな魅力でしょう。
また、徹底的に振り返りをする、というのはARROWSの社風の一つです。何かがうまくいかなかったとき、失敗したとき、社員全員でとことん振り返ることで改善点を見出します。失敗を否定するのではなく、失敗から何を得られるのかという視点で考えています。
──高柳さんがARROWSに入社してよかったと思うのはどんな時でしょうか。
やはり、クライアントさんをお連れして学校の授業現場に行き、子どもたちのキラキラした笑顔に出合えた時でしょうか。先生方からたくさんの感謝の言葉をいただくことも多く、この仕事をやっていてよかったと心から思える瞬間ですね。そして事業がまた一つ強くなった、と実感した時です。やれることに限りのない、日々臨場感をもって事業成長を実感できる環境がここにはあります。
──今後、ARROWSはどのように進化していくのでしょうか。
現在は学校の先生向けに、非常に良い価値をご提供できているという自負はあるものの、まだ十分ではないという認識も持っています。例えば、小中高で12の学年があり、科目も多岐に渡りますが、そのすべての先生が私たちの提供する便益を得られる状態にはなっていません。私たちが介在価値を発揮できる先生方すべてにそれをお届けすることを目指して、挑戦を続けていきたいと思っています。まだまだ事業の進化ポイントは多々あります。それを皆で力を合わせて一つ一つ乗り越えながら、私たちが何よりも大切にしている「先生ファースト」という信念を曲げることなく成長していきたいと思います。