30歳でトップ営業。未知の領域に風穴を開け、前例のない「授業」を先生に届ける。リクルートを経てARROWSを選んだ理由

「先生から、教育を変えていく。」をビジョンに掲げ、学校教育の変革を推し進めるARROWSでは、同社の中核事業「SENSEI よのなか学」の急拡大に伴い、営業職の採用を行なっています。 企業と提携して先生へ提供される教材の全体管理・マネジメントを行う営業職は、どのように業務へ取り組んでいるのか。リクルートを経てARROWSに参画した営業チームの田口佳之さんに詳しく聞きました。

偶然を偶然のまま終わらせず、積み重ねていく

――田口さんは現在営業としてどのようなことに携わられていますか?

大きくは2つで、新規のお客様に対して「SENSEI よのなか学」を提案することと、継続してお取引いただいているお客様とのやり取りです。

新規のお客様には課題の解決につながる提案をしてご発注をいただくための営業としての仕事、ご発注後の教材を作る段階になってからは、プロジェクトマネジメントや管理という役割にシフトします。

継続してお取引いただいているお客様には、さらに多くの子どもたちに教材を届けられるように追加の提案をしています。

多くの子どもたちに届けるためにも、届ける媒介者となってくださる「先生」の理解がとても大切です。先生方とは日々のコミュニケーションもそうですが、ときには飲みに行ったりもして、近況を聞いたり、逆にどんな授業がいいかを相談したり、カジュアルにやり取りさせていただいています。私たちのサービスは「先生ファースト」を掲げているため、先生たちからのニーズがない授業というのが一番ダメなので、先生たちから直接お話を伺える時間をとても大切にしています。

一方、クライアント企業の方々とは良い関係を継続できているケースも増えてきて、そこからさらに新しい企業さんをご紹介いただけたりと好循環が起こっているように思います。

振り返れば「SENSEI よのなか学」の最初のお客様はGoogleさんだったんですが、Googleさんとの出会いは広告代理店さんからの紹介でした。あとは、メディアでARROWS社長の浅谷のインタビューを見て連絡をくれる企業さんもあり、偶然から生まれたケースもあります。

ただ、ARROWSの姿勢としてそれを偶然のまま終わらせることはなく、例えばどういう成果を出した企業が価値を感じてくれるのか、より大きな取り組みにするためにはどうすればいいのかといったことをその時その時でちゃんと検証して次につなげていくことを心がけています。

「偶然が偶然ではなくなってきている」ように感じていますし、実際今、何十社という企業さんとお取引させていただいているのは、こういったことの積み重ねが要因だと考えています。

スタートアップイベント運営の中心メンバーを経て、起業ではなくARROWSを選んだ理由

――「SENSEI よのなか学」立ち上げ期のエピソードも出ましたが、田口さんは現在メンバー最年少でありながら2019年からARROWSに参画したベテランでもあります。これまでのキャリアとARROWSに入社した経緯について教えていただけますか。

新卒ではリクルートに入り3年ほど営業をしながら、副業でARROWSのお手伝いをし、2019年から正式に参画しています。とはいえ、ARROWSとは私が大学1年の時にインターンさせてもらっていた2012年からの関係なので、だいぶ長いんです。

そもそもインターンをしようと思ったきっかけは、大学1年生の時に授業内のビジネスコンテストのようなもので、提案内容に対して社会人の方から褒められることも多かったんですが、本当にすごいと思って褒められているわけではないのかなと思ってしまうときがあって、学生扱いされていることに対して、なんともいえない気持ちになったんですよね。

それで早くビジネスの世界に飛び込み、実務を経験しようと思ってARROWS(当時LOUPE)をWantedlyで発見し応募しました。元々スタートアップや教育という分野に興味があったのと、他のEdtech系のサービスと異なり「先生」に着目している点がユニークだなと思い、挑戦。途中、1年間だけフィンランドに留学し、帰国後はまたARROWSでインターンしているので、計3年間やったことになります。

フィンランドに留学したのは、世界トップクラスの教育といわれる国に興味を持っていたのと、海外に行って視野を広げたいという漠然とした理由からですが、ビジネスの文脈で言うと、そこで知り合ったフィンランド人と一緒に、ヨーロッパ最大級のスタートアップイベントであるSlushのアジア版を開催するという挑戦をご一緒することとなり、その後の日本での展開においては、法人運営も行いました。

「SLUSH ASIA」という、主にスタートアップの起業家・投資家、そして大企業の方々を集めるイベントを開催する会社で、数千人規模で開催されていました。当時日本には少なかった、全編英語開催・学生が主体となり運営・招待制ではなく誰でも参加可能というスタイルに挑戦していました。

SLUSH ASIA の法人営業で鍛えられた学生時代

SLUSH ASIAが開催するイベントは法人のスポンサー料で成り立っているのですが、この時に法人営業というものに触れられたのが、今もだいぶ活きています。某有名企業からご契約もいただいてましたが、この企業は普段こういったスタートアップイベントには協賛することがなく、先方としても新たな挑戦として関わってくださっていました。しかしながら、当日予期していなかったトラブルがあり、先方の期待していたような納品を行うことができなくなってしまい、めちゃくちゃ怒られたりもして、かなり鍛えられました(笑)。

――お話を聞いているとご自身で起業するという選択肢もあったのではないでしょうか。なぜリクルートに入社し、その後ARROWSに戻ったのでしょうか?

大学や留学まで行かせてくれた親が、CMで見たような有名企業に入ることを望んでいたこともあって、たしかに大企業で一度くらい働いて勉強させていただくのもありだなと思って、就活ではリクルートだけ受けてそのまま入社しました。リクルートを選んだのは、SLUSH ASIAのイベントで様々な企業と関わったのですが、リクルートがいちばん”馬が合った”からです。リクルートにいって活躍されていたいろんな先輩からの影響も受けたこともありますね。

まずリクルートに入って配属されたのが保育園向けの新規事業の部署でしたが、3年目のにその事業を売却することになりました。そこで自分の進路を考えたときに、ARROWSの方が、自分が仕事として没頭できると思えたんです。もちろん自分が本当にやりたいことがほかにあれば起業という選択肢もありましたが、自分が周囲に自慢したくなっちゃうような仕事に邁進したいなと思ったときに、大学生の時のLOUPEの仕事を思い出しました。

当時は創業したばかりで、いろんなアクションをしてもうまくいったことは少なかった。それでも「先生を支えるんだ、応援するんだ」という思いで挑戦し続けているこの会社こそが、自分がやりたいことなんだと改めて気づきました。

あとは代表の浅谷とは10年くらいの付き合いで、なんだかんだ尊敬している、というのも付け加えておきます(笑)。

当時のARROWSは売上も今ほど立っていなかったので、入社時はリクルート時代の半分くらいに年収は下がりました。ですが、その後順調に事業が成長して、入社当時の2倍以上年収がアップし、今はリクルートにいた頃よりも高い水準になりましたね。

未知の領域に風穴を開けて突破していく面白さ

――ARROWSと田口さんご自身のビジョンがかなりフィットしているのですね。今の仕事で面白さを感じるのはどういったところですか?

対クライアント企業と、対先生や子供の教育現場との2つあって、前者はやっぱり新たな発注をいただけたとき、すなわち「子どもに提供できる授業の数」が増えることなので、それはめちゃくちゃうれしいです。

例えば日産自動車さんは初年度4.5万人の子どもに向けた授業プロジェクトだったものが、今は、さらに多くの子どもたちに向けたプロジェクトになっていて。それは当然企業側も価値を感じてくれていることの証ですし、評価されている授業を多くの子どもたちに届けられているということになります。

後者の教育現場に関しては、自分が関わった授業を受けている子どもたちの楽しそうな表情や真剣に取り組んでいる様子などを目の当たりにしたときに、本当にこの仕事をやっていて良かったなと思います。顧客(先生)理解を高めるという意味でも、授業見学は大事にしています。

日産自動車の授業を見学。子どもたちの反応をリアルに感じられるのも醍醐味

もうひとつ、営業という仕事そのものの面白みを感じるのは自分が「風穴を開けられた瞬間」です。

昨年、ARROWSがした大きなチャレンジのひとつに経団連への加入がありました。そこで日本をリードする大企業の上層部の方々と繋がれるようになり、これをきっかけに某トップメーカーさんから受注をいただくことができました。すると、これをきっかけに「経団連に加盟している他の大企業にも提案していこう」というポジティブな空気が社内で醸成されていったんです。

最初は、「け、経団連・・・」とビビってしまう自分もいましたが、いざ挑戦してみて、実際に受注をいただくケースも出てきたりすると、自信を持って参加できるようになってきました。

風穴という例では大塚製薬さんとの案件でもありました。大塚製薬さんとは「ポカリスエット」に関連して、熱中症を学ぶ教材を共同開発しましたが、授業後の生徒・保護者における消費行動の変化についての「リサーチの発注」を初めていただけたんです。

私たちが提供している授業では、企業さんの商品を直接的に宣伝するようなことはせず、企業の価値を「子どもたちに必要な学び」に変換して提供していますが、結果的に「お子さんがどれくらい大塚製薬さんの主力商品であるポカリスエットを選ぶようになったのか」「親御さんがポカリスエットをどのくらい子どもにお勧めするようになったのか」など、授業後の消費行動にポジティブな変化を作ることができました。

ここですごく良い結果が出たので、その結果を持って他の企業に提案に行くという好循環も作れました。

このような、まだ会社としてやれていないことに最初に飛び込んでそこをきっかけに組織の成長を加速させていけるというのは、すごくうれしい気持ちになりますね。

相手のことをとことん知り、どれだけ言葉を尽くせるか

――では、どんな人がARROWSの営業に向いていると思いますか?

「相手のことをちゃんと好きになれる」「本質の部分から逃げない」の2つが重要かなと思っています。

1つ目の「相手のことをちゃんと好きになる」ために、私自身心がけているのは「相手のことをちゃんと知る」ことです。クライアント企業の商品を食べる、飲む、使うということはすごく大事にしています。そうすることで理解が深まり相手のことを好きになれる。すると提案1つとっても血の通ったものになりますし、相手も気楽に連絡をくれたりして、良い関係性の継続にもつながります。

また最近は経団連に加入したこともあって、経営陣の方々にお会いする機会も多いので、そういった方々のインタビューを探して読み込んだり、出演されているラジオを聴いたりといったこともしています。そこにはやっぱりその方々の思考が如実に出るので、そもそもARROWSのサービスを提案できる余地があるかのヒントにもなりますし、実際にお会いしたときのコミュニケーションにも活きています。

ましてや競合も前例もない「授業」というサービスを理解してもらい、価値を感じてもらうためには、「御社にはこんな特徴と歴史があり、そしてこのようなことを大切にしてきている。一方学校現場にはこのような悩みがある。ゆえに御社が学校現場に参画してくれることは、社会的にもビジネス的にも大きな意義のあることなんです」というように、相手のことを知った上で言葉を尽くさなくてはなりません。

ARROWS田口_インタビュー

もう1つの「本質の部分から逃げない」は、冒頭でお話ししたことと重なりますが、運や偶然、雰囲気でやり過ごしがちなことをそのままにしないで正面から向き合える人に来ていただきたいと思っています。

前例も競合もないサービスをクライアントにどう理解してもらうか、先生方にとって普段馴染みのない企業の活動を「学び」に変換したとき、それをどう理解してもらった上で子どもたちに授業をしてもらうのか。そして慈善事業ではないので目に見える成果をクライアント企業にどう感じてもらうかなど、この仕事は割と難しいお題が多いんですね。だからこそ、受注をいただけたときはその要因をしっかり突き詰めて、組織に知見として貯めていくことが重要です。

・・と偉そうに言う私自身が雰囲気で仕事をしてしまいがちなんですが、この会社はそれがあまり許されません(笑)。先ほど挙げた某トップメーカー企業さんから発注をいただけた話なら、「なぜその企業から発注をもらえたのか?」を突き詰めて考えて「それは田口さんがこういう話をしたからじゃないか」とか、チームで議論して偶然や運でやり過ごしがちなことに再現性を持たせる努力をするんです。

失敗したときも同じです。以前、ある会社から発注いただいて授業を作ったのですが、イレギュラーな要素が多いプロジェクトとなってしまい、そこを私が上手く対応しきれずに、先生に対してもクライアントに対しても価値を発揮仕切ることができないプロジェクトにしてしまったことがありました。私としては当然やってしまった感もあるし、多少恥ずかしいんですが、その原因を突き詰めて考え、すべてをつまびらかにして社内で発表しました。

もちろん楽しい作業ではないですが「人を責める」のではなく「起きたコトの要因突き詰めて仕組化する」のが、AROOWSの文化です。これが次の成功につながり、さらに強い組織になっていけるのだと思います。

ARROWS営業チーム
営業チームでのミーティングの様子

あとは、何か1つこの会社で働くにあたっての信念があると常にそこに立ち返れるのですごくいいなと思います。私で言えば、これまで10年近く一緒に仕事をしてきた先生方、そして多くの子どもたちに価値を届けていきたい。だから、例えば「もしこの教材のプロジェクトマネジメントが上手くいかなかったらプロジェクトが長期化して、教材作りが遅くなり、先生が授業できる期間が短くなってしまう。すなわち、多くの子どもに届けられなくなり機会損失になる」と目の前の仕事だけではなく、その先にある相手や結果をイメージして頑張ることができます。

私たちはビジネスだからこその強みを生かしてレバレッジが効かせて、教育現場の課題解決のスピードを早めることができます。全国100万人の先生に対して一人でも多く「SENSEI よのなか学」を届けていきたいですね。


profile

田口佳之プロフィール

田口佳之|営業チームリーダー

大学在学中、LOUPE(現ARROWS)の初期にインターンとして参画。大学卒業後、リクルートマーケティングパートナーズを経て、ARROWSに転職。「SENSEI よのなか学」を担当し、企業と学校の課題をヒアリングしながら、企業・先生・子どもたちの三者にとって価値ある企画を立案・実行している。会社が大きくなれば、社会に提供できる価値も大きくなる。いいことしか無いです!
趣味は、フィンランド留学仕込みのサウナ。